「雨露しのげれば・・・」
こんな言葉、聞いたことありますよね。
住宅の建築に携わっていると、時々不思議な感覚を覚えることがあります。
完全に屋外の何の障害物もない更地の状態から、徐々に屋外の風景が切り取られ
屋根、壁で囲われて、いつしか完全に屋外とは隔離された空間が出来上がる。
気持ちのよい日差しが遮られ、ときどき木々のにおいを運んでくれた心地よい
風が遮られ、街の音が遮られる。
雨露の侵入はもちろんのこと、一切の隙間風も許さない。
そして外気温まで遮断しようとしている。
国は、省エネの観点から自然環境と完全に隔離された空間づくりを推奨し、
建築基準法は一定条件以上の採光条件を要求し、常時換気を義務化する。
そして住まい手は日当りの良く、風通しの良い住まいを求める。
密閉と解放・・
相反する様々な要求と、様々なエゴも絡み合う住宅建築。
もっとシンプルに、もっと肩の力を抜いてこの仕事と付き合いたいものである。